株式市場もあと10数分で終了という時間。
近所のお寺の鐘が鳴っている。
誰かのいたずらか。
そうか、鎮魂の鐘だ。
午後2時46分から、何度か鐘の音。
10年前の地震の日を思い出す。
その日はJRも止まり、会社の机の下にダンボールを引いて新聞紙を被って寒さよけをして寝た。余震で書庫がカタカタ音を立てる。
翌週月曜日になって京浜東北線が運休になる事を知る。どうやって通勤するのかしばらく地図を眺めて、自宅から徒歩で1時間半ほどに有る地下鉄南北線に乗って通うことにした。
毎日1時間半徒歩で駅の行き来をするのか。
翌日から京浜東北線は動き始めたので事なきを得たが、駅の照明が落とされて暗ったいこと。
ただ、暗かったせいでかえって気持ちが落ち着いたかもしれない。
スーパーから食料が消え。
計画停電で真っ暗な夜を過ごしたり。
原発事故に不安を覚えたり。
気持ちが不安定になっていたことを思い出す。
当時は、週末ごとに逗子に行ってウインドサーフィンの練習をしていた。
地震からしばらくは遠ざかっていたが、数カ月後に訪れたときは、途中で買い求めたワンカップ酒を供えて手を合わせた。
人それぞれの10年前があるんだな。