走って、走って、ときどき海遊び

ラスコです。人生3分の2を終え残りは、ジョギングで走って、自転車で走って、ときどき釣りとウインドサーフィン.....

今週のお題「都会 or 田舎?」

さてと、今週のお題について書いてみます。


まだ携帯電話を持ち始めた頃だった。夜12時過ぎに珍しく呼び出し音が鳴った。
液晶画面を見ても発信者の見当が付かない。電話に出た。
もしもしと言っても返答がない。がさがさ音がするからつながっていないわけでもなさそうだ。思い切って名前を名乗った。
間をおいて女性の声で「あなた、だれ?」と言う。誰と言われても電話してきたのあんただろう。間違い電話だったのか。もう一度ボクの名前を言う。


相手は「どうしたらいいの」と聞いてくる。そういわれても何が何だかボクの理解を超えた会話の展開。
どうやら相手は二人で会話しながら電話しているようだ。

「どうしたの、なんかあったの、それよりもあんた誰」とボクが問いただすと。
しばらく間をおいて「電話ボックスの壁にこの電話番号といっしょに電話くださいと書いてあったから電話してみた」と言う。
誰かがいたずらででたらめな番号を書いたのだろう。

どこにそんないたずらが書いてあるのか「どこから電話しているの」と聞くと「仙台駅前の電話ボックスから」と答える。
ああ、だからちょっとナマリのある話し声だったんだ。
誰かがいたずらで書いたんだろうと話すとがっかりしたような声。

「もしボクが仙台に住んでいたらどうしたの」
「感じ良さそうな人だったら遊びに行こうかと思った」
「君たちいくつなの」
「17才」
「17才!高校生なの」
「そうだよ」
「こんな時間まで遊んでて親に怒られないの」
「別に」
「で、お兄さんはどこの人」
「埼玉の浦和って知ってる?」
「知ってるよ。うわー都会なんだ」
「埼玉が都会なの」
「都会だよ」
「仙台の方が綺麗で都会だよ」
「そんなこと無いよ、駅前だけだよ」
「そうなの」
「もう12時過ぎてるんだから家に帰った方がいいんじゃないの」
「埼玉の人じゃ、会えないしやることないからそうするよ」


電話を切って、それっきりかかってくることはなかった。
埼玉が都会ねー。まだ見たこと無いんだろうな。仙台の方が街は大きいし町並みは綺麗なんだけどな。

あれから何年もたって彼女たちも成人したことだろう。新幹線に乗って東京に遊びに来ることもあっただろうに。途中通り過ぎる埼玉の街を見てどう思っているんだろうか。
「仙台の方が都会だね」